日本文学名作系列:柠檬(日文版)(txt+pdf+epub+mobi电子书下载)


发布时间:2020-10-10 06:27:37

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作者:梶井基次郎

出版社:华东理工大学出版社

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日本文学名作系列:柠檬(日文版)

日本文学名作系列:柠檬(日文版)试读:

檸 檬

梶井基次郎    著しふきつかたまりわたしこころしじゅうおさ

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつしょうそういけんおいさけのけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとふつかよいさけまいにちのふつかよいそうとうに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当じきくきした時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなけっかはいせんしんけいすいじゃくかった。結果した肺尖カタルや神経衰弱がいけないのではせやしゃっきんない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いふきつかたまりいぜんわたしよろこけないのはその不吉な塊だ。以前私を喜ばせたどんなうつくおんがくうつくしひとふししんぼう美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくちくおんききでいなった。蓄音器を聴かせてもらいにわざわざ出かけて行っても、さいしょにさんしょうせつふいたあなに最初の二三小節で不意に立ち上がってしまいたくなる。何

わたしいたたましじゅうわたしまちまちかが私を居堪らずさせるのだ。それで始終私は街から街ふろうつづを浮浪し続けていた。なぜころわたしみうつくつよ

何故だかその頃私は見すぼらしくて美しいものに強くひおぼふうけいこわまちきつけられたのを覚えている。風景にしても壊れかかった街だまちおもてどおしたとか、その街にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみきたなせんたくものほころのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてへやのぞうらどおすあったりむさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きであめかぜむしばつちかえいあった。雨や風が蝕んでやがて土に帰ってしまう、と言ったよ

おもむまちどべいくずいえなみかたむうな趣きのある街で、土塀が崩れていたり家並が傾きかいきおしょくぶつときかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっひまわりさくりさせるような向日葵があったりカンナが咲いていたりする。

ときわたしみちあるきょうと時どき私はそんな路を歩きながら、ふと、そこが京都できょうとなんびゃくりはなせんだいながさきはなくて京都から何百里も離れた仙台とか長崎とか――そしいまじぶんきさっかくおのような市へ今自分が来ているのだ――という錯覚を起こそうとつとわたしきょうとにだだれひとり努める。私は、できることなら京都から逃げ出して誰一人ししいだいいちあんせい知らないような市へ行ってしまいたかった。第一に安静。がらりょかんいっしつしょうじょうふとんにおかやのりんとした旅館の一室。清浄な蒲団。匂いのいい蚊帳と糊ゆかたいちがつなにおもよこのよくきいた浴衣。そこで一月ほど何も思わず横になりたい。ねがまし希わくはここがいつの間にかその市になっているのだったら。――さっかくせいこうわたしそうぞう錯覚がようやく成功しはじめると私はそれからそれへ想像えのぐぬわたしさっかくこわの絵具を塗りつけてゆく。なんのことはない、私の錯覚と壊れまちにじゅううつわたしなかげんじつかかった街との二重写しである。そして私はその中に現実わたしじしんみうしなたのの私自身を見失うのを楽しんだ。

わたしはなびすはなび私はまたあの花火というやつが好きになった。花火そのも

だいにだんやすえのぐあかむらさききあおのは第二段として、あの安っぽい絵具で赤や紫や黄や青しまもようもはなびたばなかやまでらほしくだや、さまざまの縞模様を持った花火の束、中山寺の星下り、はなかっせんかねずみはなびひと花合戦、枯れすすき。それから鼠花火というのは一つずつわはこつへんわたしこころ輪になっていて箱に詰めてある。そんなものが変に私の心をそそ唆った。いろガラスたいはなうだ

それからまた、びいどろという色硝子で鯛や花を打ち出してすなんきんだますあるおはじきが好きになったし、南京玉が好きになった。またなわたしきょうらくそれを嘗めてみるのが私にとってなんともいえない享楽だっあじかすすずあじたのだ。あのびいどろの味ほど幽かな涼しい味があるものか。わたしおさなときくちいふぼしか私は幼い時よくそれを口に入れては父母に叱られたものだようじきおくおおおぶわたしよみがが、その幼時のあまい記憶が大きくなって落ち魄れた私に蘇せいあじかすさわえってくる故だろうか、まったくあの味には幽かな爽やかななしびいみかくただよくんとなく詩美と言ったような味覚が漂って来る。

さっわたしかねい察しはつくだろうが私にはまるで金がなかった。とは言えみすここころうごときわたしじしんそんなものを見て少しでも心の動きかけた時の私自身をなぐさぜいたくひつようにせんさん慰めるためには贅沢ということが必要であった。二銭や三せんいぜいたくうつくいむき銭のもの――と言って贅沢なもの。美しいもの――と言って無気りょくわたししょっかくこくい力な私の触角にむしろ媚びて来るもの。――そう言ったものがしぜんわたしなぐさ自然私を慰めるのだ。

せいかつむしばいぜんわたしす生活がまだ蝕まれていなかった以前私の好きであったところまるぜんあかき所は、たとえば丸善であった。赤や黄のオードコロンやオードしゃれきりこざいくてんがしゅみうきもようもキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持っこはくいろひすいいろこうすいびんきせるこがたなせっけんたばこた琥珀色や翡翠色の香水壜。煙管、小刀、石鹸、煙草。わたしみしょういちじかんついや私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。けっきょくいちとうえんぴついっぽんかぜいたくそして結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢をするころわたしおものだった。しかしここももうその頃の私にとっては重くるしいばしょすしょせきがくせいかんじょうだい場所に過ぎなかった。書籍、学生、勘定台、これらはみなしゃっきんとぼうれいわたしみ借金取りの亡霊のように私には見えるのだった。あさころわたしこうともだちおつともだち

ある朝――その頃私は甲の友達から乙の友達へというふ

ともだちげしゅくてんてんくともだちうに友達の下宿を転々として暮らしていたのだが――友達ががっこうでくうきょくうきひと学校へ出てしまったあとの空虚な空気のなかにぽつねんと一りとのこわたしさまよで人取り残された。私はまたそこから彷徨い出なければならななにわたしおまちまちさきいかった。何かが私を追いたてる。そして街から街へ、先に言っうらどおあるだがしやまえたどたような裏通りを歩いたり、駄菓子屋の前で立ち留まったり、かんぶつやほしえびぼうだらゆばながわたしに乾物屋の乾蝦や棒鱈や湯葉を眺めたり、とうとう私は二じょうほうてらちょうさがくだものやあしと条の方へ寺町を下り、そこの果物屋で足を留めた。ここでくだものやしょうかいくだものやちょっとその果物屋を紹介したいのだが、その果物屋はわたししはんいもっとすみせけっ私の知っていた範囲で最も好きな店であった。そこは決してりっぱみせくだものやこゆううつくもっと立派な店ではなかったのだが、果物屋固有の美しさが最

试读结束[说明:试读内容隐藏了图片]

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