2013年国际酒文化学术研讨会论文集(txt+pdf+epub+mobi电子书下载)


发布时间:2020-05-13 21:22:11

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作者:徐岩

出版社:中国轻工业出版社

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2013年国际酒文化学术研讨会论文集

2013年国际酒文化学术研讨会论文集试读:

版权信息书名:2013年国际酒文化学术研讨会论文集作者:徐岩排版:skip出版社:中国轻工业出版社出版时间:2013-08-01ISBN:9787501993758本书由中轻(北京)网络出版有限公司授权北京当当科文电子商务有限公司制作与发行。— · 版权所有 侵权必究 · —专题篇Special Article展望未来,共同推进酿酒产业大发展——2013年国际酒文化学术研讨会的发言

王延才

女生们,先生们:

大家好! 首先请允许我代表中国酒业协会、代表本届论坛主办方,向今天莅临大会的国际友人、国内同行表示最热烈的欢迎和最衷心的感谢!

1 产业发展宏观环境

近年,受国际经济危机影响,国内宏观经济延续下行发展趋势,投资、消费和工业增加值也是逐年见低。面对国际形势的复杂多变和国内经济运行持续出现的下滑趋势,党中央、国务院以科学发展为主题,以转变发展方式为主线,坚持实施积极科学合理的财政政策和稳健的货币政策,不断加强调控和改善宏观经济发展,推进国民经济继续朝着预期的方向发展。

根据国家统计局2012年6月份公布数据显示,5月份国内CPI同比增长3.0%,CPI环比下降0.3%,PPI同比下跌1.4%。另据数据显示, 2012年 1~5 月国内固定资产投资增速为20.1%;社会消费品零售总额增速为13.8%;工业增加值同比虽然有9.6%的反弹涨幅,但并未见明显好转。

由于受国际经济发展形势影响,国内可能面临持续增大的经济下行压力,中央提出了“稳增长”的重要发展举措,并出台了一系列刺激经济增长、拉动内需的宏观政策。例如,加快重大项目审批,对流通领域实施结构性减税,汽车下乡和节能家电财政补贴,放开民间投资门槛等。上述宏观政策短期内难以立竿见影,国内经济发展有可能仍然会出现继续降温。因此,在二季度国内生产总值(GDP)增速也可能会跌破8%。

2 酿酒行业发展概况

从近年酿酒行业全行业发展态势分析看,白酒行业发展形势较好,其产量、经济指标、规模企业、品牌、消费理念等都朝着健康发展的方向迈进。啤酒行业仍然继续保持世界第一大国的地位。葡萄酒越来越受到消费者的青睐,消费总量逐步提升。果露酒消费量继续保持着现有的发展速度,其地域性特征较明显。黄酒的消费趋势有明显提升,随着国际贸易的加速发展,其出口量有望继续增长,消费空间和行业利润将逐步提升。酒精工业随着国民经济的快速发展,将继续保持增长态势。

根据国家统计局2011年新的统计口径数据表明:2011年年底,酿酒行业规模以上企业2254户,全年饮料酒及发酵酒精生产量7103万千升,工业总产值6699 亿元,主营业务收入6631 亿元,利税总额1518 亿元,其中利润807 亿元,全行业平均亏损面10.91%,亏损深度3.60%。

进入2012年后,酿酒行业仍然沿着稳定、健康的态势发展。国家统计公布数据显示, 2012年1~5月份酿酒行业总产量达2779.75万千升(含饮料酒及发酵酒精),同比增长7.82%;全行业完成工业总产值 2967.21 亿元,同比增长23.47%;实现工业销售产值2912.05亿元,同比增长24.30%;全行业出口交货值24.54亿元,同比增长22.28%。其中:

白酒行业1~5 月,规模以上企业产量达435.63万千升(折合65%vol的商品量),同比增长17.34%。各产酒省市区中,四川位居首位,累计产量131.66 万千升,占行业总产量的比重达30.22%;其次是河南省,累计产量达到39.35万千升;山东省以37.73万千升的总产量位居第三位;总产量超过30万千升的还有江苏和辽宁,湖北省以总产量21.97万千升位居第六位,总产量在10~20 万千升的省市区有吉林省、内蒙古自治区、安徽省和贵州省四个。

啤酒行业:1~5 月,全国啤酒总产量达1845.78 万千升,与上年同期相比,同比增长5.28%。各省市区数据显示,山东省总产量位居第一位,为260.98 万千升,占总产量的比重达14.13%;总产量高于60 万千升的还有江苏、浙江、黑龙江、四川、福建、广西壮族自治区和北京市。与上年同期产量相比,山东、江苏、浙江、福建几个省份1~5月份啤酒累计产量同比出现下降;产量增幅明显的省市区有河南、湖北、四川和广西壮族自治区,同比增长均超过20% 以上。海关数据表明,2011年12月,进口大麦价格出现上扬,达383.40 美元/吨,较2011 年年初增长40.64%。但今年以来,国际市场大麦价格逐月回落,至5月份进口大麦价格跌破300美元/吨,平均为299.95美元/吨。受此影响,5 月份大麦商品进口数量达135.04万吨,比2011年同期增长1.01倍;另外,焙制型麦芽商品进口数量约5800吨,平均单价约631美元/吨。

葡萄酒行业:1~5 月,全国葡萄酒产量累计为47.18 万千升,同比增长12.82%。各省市区中,山东省总产量最高,为19.42 万千升,占比41.16%;吉林省位居第二位,累计产量为11.60万千升,占比24.58%;河南省5.78万千升,位居第三位;河北省3.06 万千升,位居第四位;其他累计高于1万千升的地区有辽宁、陕西和天津。与上年同期相比,河南、天津、北京、甘肃、云南、宁夏回族自治区、内蒙古自治区的产量均出现不同幅度的下降。

黄酒、其他酒行业:今年1~5 月份,黄酒和其他酒行业产量合计约92 万千升,产量较其他酒种来讲较小。从工业总产值、工业销售产值数据看,1~5 月份黄酒行业规模以上企业完成工业总产值62.53亿元,同比增长23.39%;实现工业销售产值54.92亿元,同比增长19.60%;产销率达到87.82%。其他酒行业,规模以上企业1~5月份完成工业总产值67.69 亿元,同比增长26.95%;实现工业销售产值65.54亿元,同比增长19.15%;产销率达到96.82%。

酒精行业:1~5 月份全国发酵酒精行业仍然保持着稳定的增长态势,累计产量为359.23万千升,增速为8.68%,与上月基本持平;累计完成工业总产值311.02 亿元,实现工业销售产值293.39亿元,同比增速均在20%以上;行业出口交货值21063万元,同比增长8.10%。

当前,国内酿酒行业总体发展趋势较好,业绩优异。但根据国家统计局现行规模工业企业统计数据表明,2011 年全行业亏损企业为246户,亏损额29亿元,行业平均亏损面为10.91%,亏损深度3.60%。但由于各酒种、各地区产业分布、经济结构体制特征等存在差异,不同酒种子行业、不同规模企业、不同控股类型企业和不同地区出现的亏损企业及亏损额相应存在差异。

3 国内酿酒行业发展特征

3.1 产量稳步增长,区域性特征明显

2011年全年酒类产品(含饮料酒和发酵酒精)累计产量 7103.46 万千升, 同比增长13.42%;累计完成工业总产值6699.24亿元,同比增长33.21%。产量增速和产值增速均呈现出加快的趋势。

区域性分布特征:全国饮料酒及发酵酒精总产量排在前五的省市区分别是山东、河南、四川、广东和江苏,五省合计产量3092万千升,占行业比重42.97%,区域性特征得以彰显。从增长水平看,除江苏地区产量同比略有下降外,山东、河南、四川、广东等地区的发酵酒精及饮料酒产量均保持着高于行业平均值的增长态势。

3.2 消费市场需求旺盛,支撑产业稳健发展

根据国家统计数据显示,2011 年我国社会消费品零售总额累计增速为17.1%,呈现出稳中加快的特征。其中,粮油食品、饮料、烟酒类的限额以上零售额增速达25.3%,高于全社会平均水平,表明国内市场对酒类产品需求呈现稳定增长的势头,显示了酿酒行业旺盛的市场发展潜力,这将支撑行业产业的稳健发展。

3.3 利润快速增长,效益持续向好

2011年,受消费需求旺盛、产业结构调整等影响,行业利润同比呈现大幅增长,经济效益显著提高。全行业实现利润806.91 亿元,同比增长41.97%;高出全国规模以上工业企业平均利润增速16.57个百分点;上交税金711.48亿元,同比增长28.80%。全行业亏损企业总计246家,亏损额 29.03 亿元, 行业平均亏损面10.91%,亏损深度3.60%,均保持在较低的水平。

3.4 进出口逆差大,市场面临挑战

近年来,伴随着消费升级和国民经济形势不断好转,酒类产品进出口贸易额也保持了较高的增长速度,酒类进出口总额呈现稳步扩大。2011年,海关总署公布数据表明,全年酒类产品进出口贸易总额为29.31亿美元,同比增长56.95%。其中,出口额4.86亿美元,同比增长51.31%;进口额24.45亿美元,同比增长58.12%;进口额是出口额的5倍。对我国酒行业总体来讲,进口酒类对我国国内酒类市场的冲击力将会呈现逐渐加大趋势,国产酒仍然面临较大的挑战。

3.5 业外资本入驻加速,规模集团化明显

业外资本纷纷涌入白酒行业,前几年有帝亚吉欧、轩尼诗等外资的注入,也有天士力集团、奇声音响等涌入,同时还有华泽集团、首都酒业、中粮集团等业内资本的运作和整合等。2011 年,又掀起白酒行业并购、整合、业外资本入驻加速态势。如联想集团收购湖南武陵酒、河北乾隆醉酒业,海航控股贵州怀酒等。进入2012年伊始,上海瑞业、鼎晖投资内蒙古河套,维维股份收购贵州醇,联想旗下资本再度与白酒企业洽谈。这些业外强势资本加速进入白酒业加快了白酒行业企业集团化、规模化发展步伐。啤酒行业集团化、规模化、现代化和信息化正在走向成熟;除产品制造外,品牌和资本越来越显现其重要性;外资对我国啤酒行业的影响已经趋向纵深发展,加快了我国啤酒业与国际接轨的步伐。全国啤酒销量呈现持续竞争加剧、企业经济效益规模化、增长趋势变缓、西部地区增长速度高于东部地区的快速发展态势。

3.6 产业升级促进产业发展

近年,我国酿酒产业升级步伐也在逐年加快,主要体现在:企业发展模式逐步向质量效益型转变;企业自主创新能力增强;业内资源综合利用、环境保护效益得到提升;信息化、机械化在行业得到应用发展;酿酒工业园区和产业基地已成为产业转型升级的发展载体。

3.7 原料配套基地建设加快

白酒行业区域性和大型企业酿酒原料基地建设发展加快;国内啤酒原料种植区域逐步成形;产区性的酿酒葡萄优质原料基地逐步建成;黄酒行业优质原料基地、果露酒行业原料基地建设也有所发展。

4 行业发展展望

各位国内外同行,中国酿酒工业近年所取得的业绩可歌可泣、可圈可点,这离不开党中央和各级政府的指导,离不开国际同行给予的大力支持,离不开业内同仁的努力和奉献。我相信在各位专家、同行的支持下,中国酿酒工业将继续沿着可持续发展的道路,健康、平稳地发展。同时,也预祝世界酿酒产业取得新的突破、新的发展!

祝各位国际友人、各位专家、各位朋友身体健康,工作愉快!

谢谢大家!科技篇Science & Technology Articlesゲノムからみた清酒酵母の系統進化∗

赤尾健,渡辺大輔,周延,下飯仁

(独立行政法人酒類総合研究所,739-0046 日本 東広島市鏡山3-7-1)

摘要:清酒は日本の伝統的醸造酒であり,麹菌と清酒酵母という2 種類の微生物の働きで製造される。清酒酵母はSaccharomyces cerevisiaeに分類されるが,高いエタノール生産能力,清酒醪での高泡形成,芳醇な香気の生成などの点で他の酵母菌株とは異なっている。清酒酵母菌株は良好な清酒を生産する製造場から分離され,多くの菌株が公益财団法人日本醸造協会から「きょうかい酵母」として頒布されている。清酒酵母の特性を遺伝子レベルで解明し,新規な清酒酵母の育種を促進するために,我々は清酒酵母のゲノム解析結果を利用して清酒酵母の系統進化を解析した。

キーワード:清酒酵母,ゲノム解析,系統進化

Genome analysis revealed phylogenic evolution of sake yeast∗

Takeshi Akao,Daisuke Watanabe,Yan Zhou,Hitoshi Shimoi

(National Research Institute of Brewing,Address,Higashihiroshima,739-0046 Japan)

Abstract:Sake is Japanese traditional alcohol beverage made from rice with the actions of two microorgan-isms,filamentous fungus Aspergillus oryzae and sake yeast, which is classified as Saccharomyces cerevisiae.However,sake yeast strains show many different characteristic features from other yeast strains,e.g.higher production ability of ethanol, stable foam formation on sake mash and production of supreme aroma.Sake yeast strains were originally isolated from sake breweries that produced high quality sake.Most sake yeast strains are now distributed from Sake Brewing Society of Japan as“Kyokai Yeast”.To understand sake yeast characteristics at genetic level and promote breeding of sake yeast strains with new characters, we studied phylogenic evolution of sake yeast strains using whole genome sequencing data.

Key words:sake yeast,genome analysis,phylogenic evolution

酒類の製造には様々な酵母菌株が使用されているが,それらの多くは分類学上Saccha-romyces cerevisiaeに属している。しかし,同種の酵母ではあっても菌株ごとに醸造特性は異なっており,それぞれの酒類に適した菌株が使用されている。たとえば清酒酵母は,清酒もろみにおいて清酒固有の風味をつくりだすばかりでなく,他の酵母では得られないような高濃度のエタノールを生産する。現在使用されている清酒酵母は清酒醸造場から分離された菌株が基本となっているが,今後さらに高度な育種を行っていくためには,現在の清酒酵母がどのようにして生まれてきたのかという進化の過程と,清酒酵母の醸造特性を支配する遺伝子を知ることが重要である。本稿では,我々の研究室で行っているゲノム情報を用いた清酒酵母の系統進化の解析について紹介したい。

1 清酒酵母の特徴

清酒酵母は,清酒醸造において22%にものぼる高濃度のエタノールを生成することができる。また,酢酸イソアミルやカプロン酸エチルなどの香気成分を高濃度に生成し,清酒の品質に決定的な影響を与えている。清酒製造における清酒酵母のもう一つの大きな特徴は,清酒もろみにおいて高泡を形成することである。これは,発酵で生じた二酸化炭素の泡に酵母が吸着することで泡が安定化するために生じる現象である。現在は,「あわあり清酒酵母」の変異株であり,高泡を形成しない「あわなし酵母」も広く使用されている。清酒酵母の生理学的特徴としては,ビタミンの一種であるビオチンを要求しないことがあげられる。このように清酒酵母は他の酵母とは異なる特徴を数多く備えていため,清酒酵母はS.cerevisiaeの中で他の菌株とは異なる一つのグループを形成していると考えられる。しかし,清酒酵母がどのようにして系統進化して来たのかについては不明な点が多い。微生物の進化過程を探るためには,今や全ゲノムデータを用いることが近道である。

2 きょうかい清酒酵母のゲノム解析

清酒酵母のゲノム解析のために独立行政法人酒類総合研究所は産官学26グループから構成される清酒酵母ゲノム解析コンソーシアムを結成し,さらにコンソーシアムと独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究により清酒酵母きょうかい7号(以下K7とす1)る)のゲノム解析を行った。K7は公益財団法人日本醸造協会から頒布されている代表的な清酒酵母であり,多くの育種株の親株ともなっている優良株である。ゲノム解析の結果, K7と実験室酵母S288 Cの染色体は,第5染色体と第14染色体の一部に存在する逆位構造を除いてきわめてよく対応しており(Fig.1),多くの遺伝子は塩基レベルで99%以上一致していた。しかし,逆に言えば,残りのわずかな違いの中に清酒酵母の特徴が潜んでいるものと考えられる。>Fig.1 Chromosome sequence comparison between K7 and S288C.

今回のゲノム解析の結果から,清酒酵母のゲノムには存在するが実験室酵母S288 Cのゲノムには存在しない遺伝子や,逆に実験室酵母のゲノムには存在するが清酒酵母のゲノムには存在しない遺伝子が多数見出された。たとえば,清酒酵母の高泡形成にかかわる2)3)AWA1やビオチン合成にかかわるBIO6は清酒酵母にのみ存在し,実験室酵母には存在しない遺伝子である。また,酵母のレトロトランスポソンであるTy因子の染色体上での分布も清酒酵母と実験室酵母では大きく異なっていることがわかった。

3 清酒酵母の系統と進化

S.cerevisiaeには様々な実用酵母や実験室酵母があり,それぞれ独自の進化を遂げてきたと考えられる。それでは, S.cerevisiaeの各菌株の系統関係はどのようになっているのであろうか。近年,様々なゲノムワイドな解析手法を用いて各種酵母菌株の系統解析が行わ4)れるようになった。AzumiらはAFLP解析によって,清酒酵母,ワイン酵母,実験室酵母のグループがそれぞれ別のクラスターに分類され,独立に進化した系統であることを示唆した。しかし,清酒酵母群の中で現在よく使用されているK6 , K7,K9,K10の各酵母を分別することはできなかった。我々も,K7と実験室酵母で構造に相違のある多数の遺伝子を用いて清酒酵母の分別を試みたが,調べたすべての遺伝子についてK6,K7,K9,K10は同一の遺伝子型を示した。これらのことは,K6,K7,K9,K10が系統的にきわめて近いことを示唆している。>Fig.2 Genome diversity among yeast strains.

清酒酵母K7の系統的位置を明らかにするために,清酒酵母のゲノムデータを用いて他のゲノムが既知の酵母菌株とのゲノム塩基配列間の塩基置換率(%)を計算した(Fig.2)。塩基置換率の数値が大きいほど遠縁であることを示すが,清酒酵母は他のゲノム解析株3株からは最も遠縁であり,ワイン酵母や実験室酵母とは異なる系統に属することが再確認された。また,清酒酵母はその多くの特徴からS.cerevisiaeではないのではないかという説もあったが,塩基置換率の程度から清酒酵母も他のゲノム解析株と同様にS.cerevisiaeであることが確認できた。

現在我々は,清酒酵母の系統をさらにくわしく解析する目的で,次世代シーケンサー(イルミナGAII)を用いた清酒酵母を主とする醸造用酵母の網羅的なゲノム解析を行っている。この解析で我々は,染色体の構造全体ではなく,塩基置換(SNP)に注目した解析を行っている。次世代シーケンサーを用いて得られた配列データをすでに全ゲノムが解析されているS288 CまたはK7と比較し,異なっている塩基を抽出してくるわけである。SNPデータを2株の菌株で比較すると,2株間の塩基置換率を計算することができ,各菌株間の塩基置換率行列をもとに系統樹を作成することもできる。Litiらは,部分ゲノム解析を行ったS.cerevisiae菌株についてSNPに基づく系統樹を作成し,清酒酵母がワイン酵母や実験室酵母とは異なるクラスターを5)形成することを示した。しかし,Litiらによって示された清酒酵母クラスターは実際には主要な清酒酵母を含んでいなかったので,我々は公開されているLitiらのデータと我々のデータを融合することで, Litiらの系統樹に我々が解析した酵母菌株を付け加えることを試みた。その結果,用いた清酒酵母と焼酎酵母のすべてが清酒酵母クラスターに含まれることが確認できた。また,清酒酵母の中でもK6 , K7,K9,K10 間の塩基置換率は非常に小さく,これらの菌株はきわめて小さなサブクラスターを形成していることがわかった。

清酒酵母はヘテロタリックな二倍体であることから,相同染色体間で塩基配列に相違のある部分(ヘテロザイゴシティー)が存在することが予想される。K7のゲノム解析では一倍体としてのコンセンサス配列を求めたが,得られた配列情報を精査することでヘテロザイゴシティーを検出することができた。ヘテロザイゴシティーの染色体上での分布をグラフにしてみると,染色体上に均一に分布しているのではなく,ヘテロザイゴシティーの多い領域とほとんどない領域にわかれていることがわかった(Fig.3)。その他の清酒酵母についても次世代シーケンサーによるゲノム解析データを用いてヘテロザイゴシティーの分布を調べてみると,K7と同様にヘテロザイゴシティーを持つ領域が染色体上に不均一に存在していた。K6,K7,K9,K10では全体としてヘテロザイゴシティーの分布パターンは類似していたが,それぞれの菌株で異なる部分もあり,ヘテロザイゴシティーのパターンを解析することで,これらの菌株の同定ができることが示唆された。K6 , K7,K9,K10のヘテロザイゴシティーのパターンについては,ゲノム配列の異なる2株が接合してヘテロ二倍体が生じ,その後のヘテロ性の喪失(Loss of heterozygosity:LOH)によって各菌株が生じたと仮定するとよく説明できる。>Fig.3 Distribution of heterozygosity on K7 chromosomes.

おわりに

ゲノムデータを用いた系統解析によって,分離した場所も時代も異なるきょうかい清酒酵母菌株が極めて近縁であることが明らかとなった。おそらくこれらの菌株は単一の親株に由来しているのではないかと考えられる。清酒の多様化を図る観点からは,異なる系統の酵母菌株の中から清酒醸造に適した菌株をスクリーニングすることも必要であろう。

参考文献

[1] Akao T.Whole-genome sequencing of sake yeast Saccharomyces cerevisiae Kyokai no.7.DNA Res,2011,18:423-434.

[2] Shimoi H.The AWA1 gene is required for the foam-forming phenotype and cell surface hydrophobicity of sake yeast.Appl Environ Microbiol,2002,68:2018-2025.

[3] Wu H.Identification and characterization of a novel biotin biosynthesis gene in Saccharomyces cerevisiae.Appl Environ Microbiol,2005,71:6845-6855.

[4] Azumi M.AFLP analysis of type strains and laboratory and industrial strains of Saccharomyces sensu stricto and its appli-cation to phenetic clustering.Yeast,2001,18:1145-1154.

[5] Liti G.Population genomics of domestic and wild yeasts.Nature,2009,458:337-341.ゲノムからわかった清酒酵母の特性∗

周延,渡辺大輔,赤尾健,下飯仁

(独立行政法人酒類総合研究所,739-0046 日本 東広島市鏡山3-7-1)

摘要:清酒は日本の伝統的醸造酒であり,麹菌と清酒酵母という2 種類の微生物の働きで製造される。清酒酵母はSaccharomyces cerevisiaeに分類されるが,高いエタノール生産能力,清酒醪での高泡形成,芳醇な香気の生成などの点で他の酵母菌株とは異なっている。清酒酵母菌株は良好な清酒を生産する製造場から分離され,多くの菌株が公益財団法人日本醸造協会から「きょうかい酵母」として頒布されている。新規な清酒酵母の育種を促進するために,我々は清酒酵母のゲノム解析結果を利用して清酒酵母の特性を解析した。

キーワード:清酒酵母,ゲノム解析,エタノール発酵,エタノール耐性

Genome analysis revealed characteristics of sake yeast∗

Yan Zhou,Daisuke Watanabe,Takeshi Akao,Hitoshi Shimoi

(National Research Institute of Brewing,Address,Higashihiroshima,739-0046 Japan)

Abstract:Sake is Japanese traditional alcohol beverage made from rice with the actions of two microorgan-isms,filamentous fungus Aspergillus oryzae and sake yeast, which is classified as Saccharomyces cerevisiae.However,sake yeast strains show many different characteristic features from other yeast strains,e.g.higher production ability of ethanol, stable foam formation on sake mash and production of supreme aroma.Sake yeast strains were originally isolated from sake breweries that produced high quality sake.Most sake yeast strains are now distributed from Sake Brewing Society of Japan as“Kyokai Yeast”.To promote breeding of sake yeast strains with new characters,we studied genetic characterization of sake yeast strains using whole genome sequencing data.

Key words:sake yeast,genome analysis,ethanol fermentation,ethanol tolerance

日本の伝統的醸造酒である清酒は,麹菌による米デンプンの糖化とその結果生じたブドウ糖の酵母によるエタノール発酵によって製造される。清酒醸造では22%にも達する高濃度のエタノールを生産することができるが,その理由としては以前から並行複発酵と麹菌の使用が知られていた。清酒醪では糖化とエタノール発酵が同時進行するため,糖化で生じたブドウ糖がすみやかにエタノールに変換され蓄積しないので,高濃度の仕込みが可能である。また,麹菌は酵母のエタノール耐性に重要な因子である不飽和脂肪酸やエルゴステロールを供給する。これらの製造条件以外にも使用される酵母の違いがある。

清酒製造に使用される酵母は清酒酵母とよばれ,分類学的には他の醸造用酵母や実験室酵母と同様 Saccharomyces cerevisiaeに属している。しかし,清酒酵母は高濃度のエタノールや香気成分の生成,高泡形成,ビオチン非要求性など他の酵母とは異なる特徴を数多く備えている。我々の研究室では,清酒酵母の高い発酵力を遺伝子レベルで解明することを目標にして研究を進めている。

1 きょうかい清酒酵母のゲノム解析

清酒酵母の特性を遺伝子レベルで解明するためにはゲノム解析が有効な手段となる。そこで独立行政法人酒類総合研究所は産官学26グループから構成される清酒酵母ゲノム解析コンソーシアムを結成し,さらにコンソーシアムと独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究により清酒酵母きょうかい7号(以下K7とする)のゲ1)ノム解析を行った。K7は公益財団法人日本醸造協会から頒布されている代表的な清酒酵母であり,多くの育種株の親株ともなっている。ゲノム解析の結果, K7と実験室酵母S288 Cの染色体は,第5染色体と第14染色体の一部に存在する逆位構造を除いてきわめてよく対応しており,多くの遺伝子は塩基レベルで 99%以上一致していた。しかし,逆に言えば,残りのわずかな違いの中に清酒酵母の特徴が潜んでいると考えられる。

2 清酒酵母はストレスに弱い

清酒酵母のゲノム配列を詳細に解析すると清酒酵母に特徴的な変異を数多く検出することができる。これらは,清酒酵母の特性にどのような影響を与えているのであろうか。清酒醸造は,低pH,高浸透圧,低温,高濃度エタノールなどの様々なストレスにさらされていることから,我々は清酒酵母のストレス応答に着目した。

酵母細胞によるエタノール発酵は細胞増殖が終了した後も継続することが特徴である。清酒醪においても細胞増殖が認められるのは発酵初期のみであり,発酵が盛んな中期以降の細胞は増殖を停止していると考えられる。清酒醪におけるエタノール発酵の主要部分が定常期の細胞で行われることから,我々は清酒酵母の定常期細胞の性質に興味を持った。酵母細胞は,一般に対数増殖期ではストレス感受性が高く,細胞壁も薄い。そして,増殖が終了して定常期に入ると,ストレス耐性を獲得し,厚い細胞壁を持ったG0期(休止期)の細胞となる。最近の研究では, G0 期の細胞は密度勾配遠心による浮遊密度が高くなっており,これがG0期細胞のマーカーとなることが2)示された。

定常期細胞の状態を実験室酵母と清酒酵母で比較するために,YPD培地で振盪培養を行った細胞を用いて,浮遊密度とストレス感受性を調べた。その結果,実験室酵母は定常期に入ると報告どおりに浮遊密度が増加してストレス耐性も向上し, G0 期に入ることが確認できた。しかし,清酒酵母は定常期になっても浮遊密度が増加せず,ストレス耐性も実験室酵母に比べて低いことがわかった。次に,実際の清酒醪中の酵母細胞について検討すると,上述の結果と同様に,実験室酵母は定常期に細胞の浮遊密度が増加し,ストレス耐性も上昇するが,清酒酵母では細胞の浮遊密度が増加せず,ストレス耐性も低いままであった(Fig.1)。以上の結果から,清酒酵母は増殖が停止してもストレス耐性の高いG0期細胞になりにくいことがわ3)かった。>Fig.1 Sake yeast cells are stress-sensitive even in the stationary phase.A: Day 2 mash (expo-nential phase), heat shock, B: Day 10 mash (stationary phase), heat shock, C: Day 2 mash,ethanol shock,D:Day 10 mash,ethanol shock.K701 is sake yeast.

3 ストレス応答遺伝子の変異と発酵力

清酒醪で22%にも達する高濃度のエタノールを生産する清酒酵母がストレス感受性であることは意外であったが,それでは清酒酵母のストレス応答のメカニズムはどのようになっているのであろうか。清酒酵母または実験室酵母を用いた清酒醪における遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて調べてみると,清酒酵母ではストレス応答遺伝子の発現が著しく低いことがわかった。また,ストレス誘導性のSTRE-lacZレポーターを用いて,清酒醪中の酵母のストレス依存的な遺伝子発現を比較すると,実験室酵母ではエタノール発酵の進行に伴い活性が顕著に増加したが,清酒酵母では活性上昇がほとんど認められなかった(Fig.2)。>Fig.2 STRE-lacZ expression of yeast cells in sake mash.K7 is sake yeast.

STREをプロモーターに持つ遺伝子の転写は,熱,エタノール,浸透圧,活性酸素などの様々なストレスに応答する転写因子であるMsn2/Msn4によって活性化されることが知られている。清酒酵母のゲノム解析結果を詳細に調べると,K6,K7,K9,K10などの優良清酒酵母ではMsn4のC末端DNA結合モチーフが変異のため欠失していることがわかった。清酒酵母に実験室酵母型のMSN4を導入すると清酒醪での発酵速度が低下したので,清酒酵母のMSN4の変異は発酵速度4)の向上に寄与していることがわかった。

しかし,MSN4にはMSN2というホモログがあり,ストレス応答への寄与はそれほど多くないことが知られている。そこで,それ以外のストレス応答経路についても検討した。その結果,熱ショック因子Hsf1の経路にも異常があることがわかった。Hsf1はストレスを感知するとリン酸化されることが知られているが,清酒酵母ではHsf1リン酸化の程度が異常に高くなっていた。この原因は,清酒酵母ではタンパク質フォスファターゼをコードする遺伝子PPT1が欠損し5)ているためであった。この変異も, K6,K7,K9,K10などの優良清酒酵母にのみ見出される変異である。

さらに清酒酵母では,酵母の細胞増殖及びストレス応答に重要な役割を果たすRim15がC末端の変異によって機能していないことがわかった。この変異も,K6,K7,K9,K10などの優良清酒酵母に特徴的な変異である。Rim15は様々な栄養条件やストレス条件などの情報を総合して下流に受け渡す役割を持っている。Rim15機能欠損株は栄養が枯渇してもGO期に入ることができず,定常期でもストレス感受性を示すなど清酒酵母とよく似た表現型を示すことが知られている。実際に,清酒酵母に実験室酵母型のRIM15を導入すると,ストレス感受性などのGO期移行異常が抑圧された。また,実験室酵母の6)RIM15を破壊すると清酒醪での発酵力が大幅に向上した(Fig.3)。したがって,清酒酵母はRIM15の変異によってGO期移行に異常が生じてストレス感受性となったが,その代わりに高い発酵力を獲得したと考えられる。>Fig.3 Ethanol fermentation of the rim15 mutant in sake mash.

おわりに

清酒醪で高いエタノール発酵性を示す清酒酵母がストレスに弱いことは意外であるが,これについて我々は以下のような仮説を考えている。実験室酵母は,発酵によってある程度のエタノールを生産し増殖が停止すると,発酵力が低下すると同時にストレス耐性を高め,G0期細胞として長期間の生存が可能な状態となる。酵母自身の生き残りのためには過剰のエタノールの生産はむしろ不都合である。一方,清酒酵母はストレス応答の異常のために細胞増殖が停止してもG0 期細胞になりにくく,エタノール発酵を続け,最後には自身も死滅してしまう。このような性質は酵母自身の生き残りにとっては好ましくないが,清酒醸造にとっては都合の良い性質である。清酒醸造の歴史の中で高発酵性を追求した結果,このような菌株が選択されてきたのではないかと考えられる。

参考文献

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[2] Allen C.Isolation of quiescent and nonquiescent cells from yeast stationary-phase cultures.J Cell Biol,2006,174:89-100.

[3] Urbanczyk H.Sake yeast strains have difficulty in entering a quiescent state after cell growth cessation.J Biosci Bioeng, 2011,112:44-48.

[4] Watanabe D.Enhancement of the initial rate of ethanol fermentation due to dysfunction of yeast stress response compo-nents Msn2p and/or Msn4p.Appl Environ Microbiol,2011,77:934-941.

[5] Noguchi C.Association of constitutive hyperphosphorylation of Hsf1p with a defective ethanol stress response in Saccha-romyces cerevisiae sake yeast strains.Appl Environ Microbiol,2012,78:385-392.

[6] Watanabe D.A Loss-of-function mutation in the PAS kinase Rim 15p is related to defective quiescence entry and high fermentation rates in Saccharomyces cerevisiae sake yeast strains.Appl Environ Microbiol,2012,78:4008-4016.清酒の機能性について

秦 洋二

(月桂冠株式会社総合研究所 612-8385,日本 京都市伏見区下鳥羽小柳町 101)

摘要:「酒は百薬の長」と呼ばれるように清酒は、至酔のためのアルコール飲料としての役割だけでなく、様々な薬理·薬効があると信じられてきた。古くは貝原益軒の「養生訓」に「酒は天の美禄である。少し飲めば陽気を補助し、血気をやわらげ、食気をめぐらし、愁いをとり去り、興をおこしてたいへん役にたつ。」と記載されていたり、長寿の方の体験談にも「長生きの秘訣は、毎日の晩酌」といった声も良く聞かれる。

一方近年の科学技術の進歩とともに、清酒やその副産物について、様々な機能性が実証され「酒は百薬の長」が科学的に証明されるようになってきた。興味深いことに、これらの研究で明らかとなった機能性物質は、そのほとんどが醸造過程を通じて生成されるものである。すなわち、清酒の原料である米から、酵母や麹菌によって発酵させることにより、原料米には無い新たな機能性物質が生み出されることを示している。ここでは、清酒およびその副産物に関する最近の研究報告を要約し、現時点で「酒は百薬の長」がどこまで解明されたかを概説する。

キーワード:清酒、機能性、ACE阻害

Functionality of Japanese rice wine,Sake

Yoji Hata

(Research Institute,Gekkeikan Sake Co.Ltd.,Kyoto Japan 101 shimotoba-koyanagi-cho,fushimi-ku,Kyoto,612-8385,Japan)

Abstract:It was described in Chinese old history books that“Sake is the chief of all medicine”.Clearly, sake,Japanese rice wine,may not only be drunk in order to enjoy its relaxing effects but also as a foodstuff contributing to a healthy life.Recent scientific research has revealed various active ingredients and physiolog-ical effects pointing to functionality of sake.Therefore the beverage deserves promotion as an evidence-based functional food.

We isolated 6 kinds of ACE (angiotensin-converting enzyme)inhibitory peptides from sake,and demonstrated anti-hypertensive effect of these peptides by administration to SHR (spontaneously hypertensive rats).According to amino acid sequences,these peptides were derived from rice protein with hydrolysis during sake fermentation.

Sake lees contains large amounts of protein and fiber derived from rice protein and yeast cells.Administration of sake lees to mice fed suppressed increases in body weight and intraperito-neal adipose depots accumulation.

Key words:sake,fuuctionality,ACE inhibition【清酒やその副産物の機能性研究】

清酒やその副産物の機能性については、スローフード微生物工学研究部会(会長:北本勝ひこ教授)において、原著論文·特許·学会発表などを基準にリストを作成し、2006年に関連研究者に広く公開している。醸造食品の機能性については、「毎日のお酒が長生きの秘訣」のような伝承的なものから、動物実験やヒトモニター試験で生理活性が科学的に実証されたものまで様々である。清酒の機能性データベースでは、原則として1990 年以降の公開特許、総説、原著論文、学会発表をもとに作成した。

図1に機能性研究を素材別に分類した結果を示す。やはり清酒に関する研究が最も多く、続いて酒粕の素材研究が多い。ただ最近はこれらの研究から機能性食品の開発を目指すものが増加しており、今後の発展性からは酒粕の方が魅力ある素材なのかもしれない。また甘酒のように既に食品として常用されているものにも、有用な機能性が見出されている。甘酒は、酒粕·米麹·酵母などの機能性素材の混合物であり、これらの機能性の相乗効果が期待され、新たに機能性飲料として着目されるようになっている。>図1 素材別 機能性研究事例

次に各機能性研究の関与成分について考察する。関与成分が同定されていない報告は全体の2 割程度で、その他は推定を含めて関与成分を具体的に例示している。主な関与成分は、米蛋白質やその分解物、米デンプンの分解物などであり、原料成分が酵母や麹菌の働きにより、機能性物質に変換されたことを示している。ただし、それ以外に酵母の発酵産物や麹菌の2 次代謝産物から、酵母や麹菌の代謝産物と原料由来の成分が、発酵終了後に化学的結合して生成されるものまで、多種類の機能性成分の報告がなされている。これは清酒醸造から生み出される機能性の幅の広さを表しており、今後の機能解明が進むとともにさらに新しい機能性物質の発見が期待できる。

また機能性の証明方法について、図2に示す。1990年初期の機能性研究は、試験管モデルにおけるin vitro試験が、主体であったが、2000年からはヒトの培養細胞やマウスやラットを用いたin vivo試験による実証実験が多く見られるようになっている。さらに最近ではヒトモニター試験による証明なども、実施されている。このようにデータベースで見る限り、清酒の機能性研究は確実にその精度を向上させており、人体での具体的な効果·効能が実証されつつある。機能性食品としての清酒の欠点は、アルコール飲料であるがゆえ、大量摂取が困難であり、未成年·妊婦などへの摂取が制限されることである。もし清酒の機能性の関与物質が同定され、その成分だけを酒粕などの清酒以外の食品で摂取できるとすれば、誰でも、いつでも、安心して摂取できる機能性食品に生まれ変わると考えられる。

講演では具体的な機能性研究の事例を交えて、清酒やその副産物の機能性研究に関した幅広く紹介したい。>図2 機能性研究の手法>図3 伝統技術で製造される清酒清酒醸造における酵母ミトコンドリアの役割の解析と育種·代謝改変への応用

北垣浩志

(佐賀大学,840-8502 ,佐賀県佐賀市本庄町1)

Corresponding Author:北垣浩志(1971 年生)、佐賀大学·鹿児島大学大学院,准教授,文部科学省,学術調査官,佐賀県佐賀市本庄町1,840-8502,電話:0952-28-8766,fax :0952-28-8709,E-mail:ktgkhrs@cc.saga-u.ac.jp。

摘要:ミトコンドリアは酸素呼吸のための細胞内小器官であるため酸素呼吸のほとんど起こらない酒類醸造におけるその役割の解析やミトコンドリアに着目した醸造技術の開発は行われてこなかった。分子生物学的手法を取り入れることで産業的なアルコール発酵で初めて酵母ミトコンドリアの構造を明らかにし、その知見を元に代謝工学的な手法で新規酵母の育種(低ピルビン酸清酒酵母育種)と代謝改変(リンゴ酸·コハク酸制御)に成功した。

キーワード;ミトコンドリア;清酒酵母;育種;代謝改変

Analysis of the role of yeast mitochondria during sake brewing and its application for breeding of novel sake yeast and modification of metabolism

Hiroshi Kitagaki

(Saga University,Faculty of Agriculture,Kagoshima University,United Graduate School of Agricultural Sciences,Saga city SAGA840-8502,Japan)

Abstract:Since mitochondrion is an organelle for oxidative respiration,its role during industrial alcoholic fer-mentation has not been investigated in detail and brewing technologies based on insights into mitochondrial events have not been developed.We have developed pyruvate-underproducing sake yeast by isolation of a sake yeast mutant resistant to an inhibitor of mitochondrial pyruvate transport.Furthermore,we have developed a new brewing procedure to control mitochondrial activity to increase malate production and to decrease succinate production.These novel strategies will pave a way for mitochondrial-targeted brewing technologies.

Key words:mitochondria;sake;yeast;breeding;metabolism

清酒(日本酒)は、米と麹菌 Aspergillus oryzae、清酒酵母

试读结束[说明:试读内容隐藏了图片]

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